この旅のイントロは:
「なあ!さっき準備した、充電用のコンセントいれた袋!
あの袋どこやったん?!」
「えっ?…オレ、どこもやってないけど…」
「…。ああ。あったわ。あたしが自分のカバンに入れてたわ」
「…。」
「なあ!あたしのiPhone!!ここ置いてたヤツ!!
どこやったん?!」
「えっ…。あんた自分でポケット入れてたやん…」
「…。ああ。あったわ」
「…。」
旅はこうして始まった。
相棒・日産エクストレイルはもう15年乗っているボロ車だ。カーナビはとっくにブッ壊れてる。ラジオもCDも。
だが今はスマホがある。無料でダウンロードしたYahooカーナビが、とにかく優秀だ。
大きめの洗濯バサミでスマホをダッシュボードに固定すると、あっと言う間にカーナビの出来上がり。
10:30。予定より1時間遅れで旅はスタートした。
まず向かうはサントリービール工場。ここでは市場に出回らない、出来立てのビールを買うことができる。京都工場で2日前に缶詰めされたばかりのプレミアムモルツを1ケース購入できた。
こいつを手土産に、いざ!埼玉県へ!さとじゅんと稲垣さんから、富士川SAで、巨大かき揚げのソバが良い、との情報をゲット。ここは富士山が綺麗に見えるらしいSAだ。ここは寄ろう、とお方さまと決める。
京都を出たのが11:30。朝食を抜いてきたのでお腹がペコペコだ。
名古屋の息のかかったSAで、ミソカツを食おう!ということになり、お方さまがiPhoneで情報収集。御在所SAというところが大きなSAらしい。そこを目指す。
御在所SAは大きなフードコートがあり、さらに奥には「柿安」のレストランがあった。
「柿安」といえば有名な肉屋さんだ!
緊縮財政を強いられる我が家ではあるが、せっかくなのでここで食べよう!
しかし、あまりの空腹に耐えかね、トイレ休憩に立ち寄った甲南サービスエリアで、まずは赤福餅を食べる。
そこからさらに小一時間、クルマを走らせ、御在所サービスエリアに到着。
「柿安」のミソカツ定食、揚げたてのトンカツを熱した鉄板にのせ、食べる直前に味噌をかけるパターン。熱々鉄板で味噌がとびちらないよう、鉄板を紙で囲っている。
とえりゃーうみゃー!
腹ペコの2人、夢中でかぶりつく!
が、入院以来、1日1700kcal生活を続けている僕。量が多すぎ!カツを一切れ残した。
さて、14:30に御在所サービスエリアを出る。
最終目的地は埼玉県W市。ドクが住んでいる場所だ。
「新東名高速道路」と「東名高速道路」の違いに手間取ったものの、日が落ちる前の16:30に富士川サービスエリアに到着。着く前からすでに、正面に雄大な富士山が、浮世絵の如き薄い赤色に染まりながら鎮座している。
富士川サービスエリア。日本一の富士山をバックに、素晴らしいロケーションのSA。
巨大かき揚げが名物で美味しい!とのことだったので、それを目指して食堂に入ると…
なんと!関西ではまず食べることができない、
生シラス丼
の文字がっ!
すまん、さとじゅん!!
生シラス丼は、ここでしか食えないハズだっ!!
生シラスと生サクラエビ丼を購入!!
少し寒かったが屋外で食べていると、可愛い猫ちゃんがやってきて、生シラスをおねだり^_^
シラスもサクラエビも、ちょっとずつおすそわけ。仲良くなった印に、別れ際に猫ちゃんとハイタッチをして、富士川SAに別れを告げる。
日が暮れた高速道路を、東京・八王子をかすめて埼玉県へ。
W市のインターを降りたのは20:05。ドクにメッセージを入れる。
20:30にドクと落ち合い、近所の居酒屋。
ドクが叫ぶ。
「僕はサンマが好きなんです!でもうちの嫁がサンマ嫌いなんで、家では食べさせてもらえないんです!だから、サンマを食べるっ!!」
ああ、ドク…(^^;;お互い、嫁には手を焼いていますね…(^^;;
僕の心臓疾患について、最初に忠告をくれたのがこの人だ。
ウルトラマラソン挑戦のために、ランニング用の心拍計を購入したのが、2015年の12月。
そいつを装着したところ、ランニング時の僕の心拍数が200bpmをはるかに超えていることが判明。
そのことをドクに相談したところ、
「機械の故障でしょう。でも、もし故障じゃないのであれば、そのまま走り続けるのは自殺行為です。精密検査をおすすめします」
とのアドバイスに従い、検査を受けたところ、心房細動が発覚したのだった。
その深刻度が判明し、仕事が心臓に悪影響しか及ぼさないため、この歳にして辞職を決めたとき、人間にとっての幸せとはなにかについてアドバイスをくれて、辞職を応援してくれたのもこの人だ。
韓国で生まれ、東京の大学を出て、東京で科学者をして、本来、関西生まれの文系人間の僕と交わる接点など皆無なのに、facebookで交わったこの人に、背中を押された。
いろんな偶然が重なって出会ったこの人に、命を救われたのかもしれない。
そう考えると、感謝しても仕切れないなあ。
ドクと別れ、ホテルに戻るなり、お方さまが言った。
「あたしのサイフ!アンタに渡したよね?!
返して!!」
「えっ…。とっくに返したやん…」
「ああ…。あったわ」
「…。」
(旅日記・2日目前編に続く)