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ネタバレ注意!映画「ザ・コンサルタント」宣伝文句に騙されてはいけない。そんな単純な物語ではない、複雑で、残酷で、皮肉で、かつ優しい、家族愛に溢れたアクション映画

 

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ベン・アフレックは不思議な役者だ。

 

彼に「アルゴ」があってよかった。ベン・アフレックを語るとき、必ず「アルゴ」を出せばとりあえず着地できる。アカデミー賞作品賞を受賞した作品だし、それを監督・主演した人物だ。アメリカ映画界でも最高クラスとみなしていい映画人だ、と言えるだろう。「アルゴ」を語っておけば。

 

では、「アルゴ」を外すと、彼はどんな映画人なんだろう?

 

(以下、あくまで僕個人の感想です) 

ハンサム…なんだろう。決してブサイクじゃない。でもなんか特徴がない。例えば、「アルマゲドン」に彼は出演していたんだけど、僕は覚えていなかった!「アルマゲドン」で思い出すのは、ブルース・ウイリスとスティーブ・ブシェミと、エアロスミスのボーカルの娘さんくらいだ。そー言えば出てたっけ?の印象だ。

 

最近では「ゴーン・ガール」なんか大好きな映画だったが、やはり同作で強烈に印象に残ったのは、あの悪女の方で、ベンの方は、人畜無害ないい人が右往左往している印象しかない。

 

ハンサムだけど、あまり表情がないように思える。だからスクリーンから受ける強烈な印象が少ないように思う。例えば、マット・デイモンとは幼少時代から親友だというが、マットはハンサムか?うーん、微妙なところだが、彼のようなサル顔が必死な表情をしたら、強烈なインパクトがある!「ボーン」シリーズが彼なしで成立しないほど強烈なのはそのせいだろう。

 

バットマンVSスーパーマン」でバットマンを演じると聞いたときは驚いたし、世界中からブーイングが来るのもわかる気がした。特に、ノーラン監督とクリスチャン・ベイルバットマンの三部作の直後だ。あのバットマン"ダークナイト"シリーズはもう伝説と言えるほどの出来だ。その直後にバットマンを演じるとは…誰もベイルを超えられるなんておもわないだろう。彼の「人柄の良さ」を感じてしまった。

 

「アルゴ」では、逆にそのキャラが役柄とマッチしていた。印象が強かったかと言えば、やはり首を傾げたくなるが、それでも、印象を消さなければならない秘密工作員、という役柄ははまっていたと思う。

 

さて、本作であるが、実に素晴らしい!

 

これこそ、ベン・アフレックの代表作といってもいいのではないだろうか。上述した、ともすればベン・アフレックの欠点となってしまうようなキャラが見事に長所へと昇華し、クリスチャン・ウルフは彼以外考えられないともいっていいほどのハマリ役になった。

 

その本作だが、宣伝文句だけを聞いていると…

 

 「クリスチャン・ウルフ。職業:会計士。本業:腕利きの殺し屋」

 

このキャッチコピーを聞くと、

 

「ああ、現代版の必殺仕事人?ワイヤーアクション多用の?」

 

そんなイメージを持ってしまっても仕方ないと思う。

 

「じゃあもしお前がこの映画の宣伝係なら、どんなキャッチコピーを作る?」

 

と言われたら、

 

う〜ん…

 

やっぱり、似たようなコピーになってしまうかなあ…

 

とも思う。万人に、一言で内容を伝えるのなら、やはりそんな感じかもしれない。

 

でも、クリスチャン・ウルフは決して殺し屋ではない。

 

宣伝ではいっさい触れられていない、主人公の最大の特徴が、「高機能自閉症」だ。

 

そんなハンデを持つ彼が、社会で生きていけるよう、軍人だった父に幼少から徹底的に鍛え込まれた格闘技などが、彼を無敵の格闘マンに育て上げたのだ。

 

刑務所で教え込まれた「裏社会での仕事の仕方」を生かしつつ、連中を裏切り正義をなし、降りかかる火の粉を振り払うだけだ。殺し屋ではない。

 

STORY

 

温厚そうな老夫婦。大きな農場を営んでいるが、経済的に行き詰まり、もう続けられそうもない。

 

最後の頼みの綱として、近くで事務所を構えている会計士に相談してみた。

 

中華料理店の横に、ひっそりと事務所を構えている会計士、クリスチャン・ウルフ。

 

野暮ったい服装。にこりともしない表情。

 

こっちの話を聞いているのかいないのかもわからないほどの無反応。

 

話を終えると、彼は、全く意外な切り口から、老夫婦の問題解決の糸口を見つける。夫人がはめていたネックレスだ。どこにでもある、自作のネックレス。

 

会計士にさよならを言う時、既に老夫婦の問題は解決していた。

 

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一方、財務省調査のトップ、キング長官は、若い女性分析官をオフィスに呼ぶ。有能そうな彼女、実は経歴を偽って職を得ていた。逮捕歴を隠していたのだ。

 

経歴詐称は刑務所送り。しかし長官は、選択肢を与える。

 

麻薬がらみなどの大物犯罪者と常に一緒に写真に収まっている男。しかしどの写真にも、顔が写っていない。カメラ位置を把握しているのか。

 

逮捕後、すべての犯罪者は彼を「会計士」と呼んでいる。

 

いくつもの巨大な犯罪組織の会計を担当し、資金を洗浄しているこの謎の会計士の正体をあばけ。

 

女性分析官に選択の余地はない。

 

何十年も前。少年は大きなジグソーパズルをわずか数分で完成させるが、ピースが1つだけ足りない。

 

完成させなきゃ、完成させなきゃ!少年は頭をかきむしり唾を飛ばし激しい動揺を示す。

 

そんな兄を静かに見守る弟。兄には少し問題があるが、弟は常に兄に寄り添っていく。

 

軍人の父は、息子が問題なく生活していけるように、ややもすれば厳しすぎる態度で接する。

 

母は、優しすぎたのか。その生活に耐えられず、出て行ってしまう…

 

軍人らしく、父のやり方は極めてスパルタだ。倒れ、動けない息子を前に、格闘技の師範には辞めることを許さない。

 

いじめっ子は何人いようが、叩きのめすまで終わらせない。

 

でも、常に、彼の傍らには、弟がいた。

 

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田舎の会計士に、大きな仕事が舞い込む。巨大企業リヴィング・ロボ社の中で、会計がおかしい。若い女性経理係デイナが発見した。

 

社長の妹は、知人から紹介された「極めて有能な会計士」クリスチャン・ウルフを雇う。

 

ウルフは15年分の書類に目を通し、与えられた部屋の壁のすべてを埋め尽くすほど数字を書きなぐり、わずか1日で答えを導き出す。

 

ところが、ある役員が自殺したことで、社長は調査を打ち切る。ウルフには報酬が支払われるが、仕事を終えていないウルフは激しく動揺する。

 

仕事を終えたい!結論にたどり着きたい!!激しく自傷行為を行うが、叶えられることではない。

 

しかし、彼の命が狙われた。

 

ウルフが連絡を取る唯一の「女性」、電話の声だけの彼女は、クリスチャン・ウルフを捨てて、早急に別の偽名で別の土地へ行け、と命じる。

 

彼はいくつもの偽名を持ち、隠れ家には数え切れないほどの隠し財産を有しているのだ。犯罪者たちとの仕事で得た財産だ。

 

しかし、デイナにも暗殺命令が出ていることを知ったウルフは、彼女の救出へ向かう。こんな風変わりな自分に、親しく接してくれた彼女を見捨てることができなかった。

 

昨日、出会ったばかりの、ダサい会計士に命を救われたばかりか…

 

彼の部屋に、ルノアールポロックの、本物の絵画が飾ってあるのを発見し、驚愕するデイナ。

 

ウルフはリヴィング・ロボ社の不正問題に決着をつけるべく、独自調査を開始するが、それはとんでもない量の血が流れる調査となった。

 

 

ベン・アフレック、最高のハマリ役! 

 

 初めは、父の厳しすぎる態度が家族の崩壊を招くのかな、と思ったが、そうではなかった。父の態度は自閉症の息子の人格を磨き、独り立ちできる礎を作った。父の愛は、正しかったのだ。

 

逆に母の優しすぎる部分こそが、家族の崩壊を招く原因となってしまった。

 

本作のクリスチャン・ウルフは高機能自閉症、と字幕では現れていた。この言葉は実際にあるようだが、特に高度の特殊な能力を有することはないようだ。

 

サヴァン症候群と同時に現れることがあるらしく、ウルフの数字に対する特殊能力は明らかに健常者とは違う側面で発達した天才だ。

 

ドラゴンタトゥーの女」で有名な、「ミレニアム」シリーズを思い出した。主人公リスベットも映像記憶能力があり、健常者とは違う側面で発達した天才だった。

 

自閉症の方がこの映画を見て、自閉症の特徴を丁寧に描いていると褒めていた。毎回、同じ内容の食事。食材の配置にさえこだわりを見せる。成人しても、薬で抑えたり、他人には見せられないような状況で心の平安を得たり。

 

ただ、外見上は健常者と全く変わらない。少し変わったヤツ、という感じだ。だが少年時代のあの異様な行動を見ていると、かなりの苦労、訓練をして現在に至っているんだろうな、と思った。

 

ベン・アフレックの、にじみ出る人の良さと、ハンサムだけど表情に乏しいキャラは、自閉症で成人し、特殊能力で犯罪者たちとも仕事をし、しれっと裏切り、通常の心拍数のまま銃弾飛び交う現場で何人も殺害するという、異様な主人公を演じるにはピッタリだ。

 

「弟」がどこにいったのか。「弟」が誰なのか。よほどカンの悪い人じゃない限り、映画の中盤くらいではもう気づく。ウルフと似たスキルを持った人物がもう一人出てきているのだから。

 

しかしながら、「弟」と何があったのか。あれほど固い絆で結ばれていた兄弟が、なぜ離れ離れになったのか?その辺りは描き切れていなかった。

 

マット・デイモンの「ボーン」シリーズのように、ベン・アフレックに「ウルフ」シリーズあり!って言えるような、シリーズものにしてほしい。弟との消えた絆の謎もまだ回収できていないことだし。

 

「女性の声」の主にしてもそうだ。カンがよければ彼女の正体はすぐにわかる。だが、これには少し細工がしてあった。物語のラストで彼女の本当の正体がわかった時。ラストの彼女の笑顔が、とても爽やかで印象深かった。

 

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